ユーグレナの主戦場、機能性表示食品市場へ(2021.8.26)

ユーグレナ合体①

【写真=ユーグレナが届け出た機能性表示食品『からだにユーグレナ ユーグレナパウダー(20本)』の表示見本。画像右が正面、同左が裏面(出所=消費者庁・機能性表示食品届出データベース)】

ユーグレナ社も届出
 通販大手キューサイをグループ傘下に迎えるユーグレナ(東京都港区)が機能性表示食品市場に本格参入しそうだ。これまでも届出を行っていたが、同社ヘルスケア事業の主力ブランド『からだにユーグレナ』から初となる2品(粉末飲料1品、飲料1品)の届出を行い、8月17日に公開された。

 機能性関与成分としたのは、いずれもユーグレナグラシリス由来パラミロン(β‐1,3‐グルカンとして)で、同社の主力製品である微細藻類ユーグレナ(石垣島ユーグレナ)を同社として初めて機能性表示食品に本格的に応用したかっこうだ。「一時的なストレスを緩和する機能」および「睡眠の質を改善する機能」のダブルヘルスクレームを届け出た。

 微細藻類ユーグレナに含まれるβ‐グルカンの一種、パラミロンを機能性関与成分にした届出を巡っては、神鋼環境ソリューション(神戸市中央区)が製造・販売を手掛ける独自素材「ユーグレナグラシリスEOD‐1株由来パラミロン(β‐1,3‐グルカンとして)」(以下、パラミロンEOD)が12カ月以上先行。同社グループ会社のミカレア(同)を通じて届出を行っていた。そこにユーグレナが追いついた形だ。今後、微細藻類ユーグレナを活用したサプリメント・健康食品の主戦場は、機能性表示食品市場に移っていく可能性がある。

 両社が届け出たヘルスクレームを比較する。まず、神鋼環境ソリューション(ミカレア)のパラミロンEODにおける8月24日時点で最新の届出ヘルスクレームは次の通り。「本品は、独自のユーグレナグラシリスEOD‐1株由来パラミロン(β‐1,3‐グルカンとして)を含むので、日常生活の一時的な精神的・身体的疲労感を軽減する機能があります」

 次いで、ユーグレナが届け出たヘルスクレームは次の通り(2品共通)。「ユーグレナグラシリス由来パラミロン(β‐1,3‐グルカンとして)には、作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善する機能が報告されています」(一部省略)。

 ユーグレナは昨年5月、ユーグレナ粉末を経口摂取した際の機能性をヒト試験で検証した結果を発表。作業ストレス負荷時における自立神経バランスの調整、イライラ感・緊張感の抑制のほか、睡眠の質の改善機能が示唆されたことを紹介していた。この研究成果を、機能性表示食品の届出に生かした形だ。

 同社では、今回の届出公開を受け、「『石垣島ユーグレナ』という素材及び『からだにユーグレナ』ブランドの信頼性強化に繋がり、お客様の商品選択時に安心感を提供できるものと考えております」とのコメントを出した。

ユーグレナ3Q ヘルスケア事業、120億円に 四半期で過去最高
 ユーグレナが8月13日に発表した2021年9月期第3四半期の連結業績は、売上高が対前年比27.0%増の121億1300万円、経常損失は4億4020万円(前年同期は8億2204万円の経常損失)の増収減益だった。サプリメント、化粧品などのヘルスケア事業が全体をけん引した。3カ月分の四半期売上高として過去最高の43億円を計上した。

 ヘルスケア事業の業績は、売上高が同26.9%増の120億円と大きく伸びた。今年4月以降、広告宣伝など販促活動への投資を拡大。通販の定期購入者数は過去最高の32万人を突破したという。定期購入者数の増加に伴い売上高も増加。また、今年3月に子会社化したスキンケア商品を扱うLIGUNAの連結対象も増収に寄与した。

 同社では今後の海外展開を見据え、決算期を9月末から12月末に変更する。今年6月に子会社化したキューサイとその子会社の業績は、今年7月以降の業績に加算される。キューサイなどの業績を含めた21年12月期の売上高は330億円になる見込み。


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