5-ALA 素材販売を強化 ネオファーマジャパン(2021.9.9)

事業戦略インタビュー_ネオファーマジャパン① 事業戦略インタビュー_甘酒②

サプリから一般食品まで幅広く供給する ネオファーマジャパン 河田聡史 代表取締役
 今年2月、COVID‐19原因ウイルスの感染抑制機能(細胞試験)を長崎大学が発表したことで社会的な耳目を集めた5‐アミノレブリン酸(5‐ALA)。その後、COVID‐19患者を対象にした特定臨床研究が行われ、結果が注目されている。とはいえ5‐ALAは、抗ウイルスだけを目的に研究・開発されたものではない。現在の主な用途は食品であり、健康維持増進を目的にした食品素材として市場普及が目指されている。それをけん引するのは、長崎大の共同研究先で、静岡県袋井市の生産拠点で5‐ALAを製造するネオファーマジャパン(東京都千代田区)。食品向け原材料販売の本格化に舵を切った同社の河田聡史社長に、5‐ALA事業の拡大戦略を聞いた。

──一部の取引先に限定していた食品向け5‐ALAの原材料販売を事実上、解禁しました。方針転換の理由を聞かせて下さい。

 「長崎大との共同研究成果を発表した後、様ざまな方から問い合わせを頂戴しました。事業者の方からは、特に原材料販売に関する引き合いが多かった。以前から5‐ALAに関心を持って頂いていた面もありましたが、コロナ禍により状況が大きく変わりました。

 また、私たちとしても、5‐ALAの有用性、可能性に対する理解を深めれば深めるほど、広く使って頂きたいという思いが強まっていきました。我われは、特定疾患に対する治療薬の開発も進めていますが、実現までには時間がかかる。その一方で食品としてならば既に利用できる状況にある。5‐ALAという非常に大きな健康増進効果を期待できる食品素材が我われの手の中にあるのです。

 医療費の増大で様々なシワ寄せが起きています。それを解消するには、医療費を適正なレベルまで下げる必要があり、そのためには、病気の予防や未病への対処が非常に重要です。今後、健康産業の果たすべき役割は非常に大きいと思っています。

 できるだけ多くの食品事業者に5‐ALAを使ってもらい、できるだけ多くの人びとに健康増進の恩恵を享受していただきたい。その結果、病気になる人が減り、医療費も低下し、最終的に医療の質の改善、向上につながっていくといい。医療産業が現在抱えている課題に一石を投じたい目的もあって、5‐ALAの原材料販売を積極的に進める方針に転換しました。サプリメントから通常の食品まで5‐ALAの市場を広げていきます」

国内販売代理店も置く フットワーク良く市場へ
──食品用途5‐ALAの原材料販売を本格化するに当たり、7月、障害者福祉サービスを手掛けるウェルビー(東京都中央区)のグループ会社と日本総代理店契約を締結しました。サプリメントや食品の業界に認知されている企業を選ぶべきだったのでは?

 「ウェルビーさんはコア事業として発達障害など障害者の就労支援を行っています。発達障害はこころの病気の要因であり生まれつきの特性ですから、本人はもとより職場にもその特性に対する理解を深めてもらう必要があり、啓発活動も含めたトータルな支援を手掛けておられます。その意味で、医療にかなり近いところで仕事をなさっていて、アドバイザーとして複数の専門家を抱えています。その中のひとりが、我われのアドバイザーでもある元東京大学医科学研究所付属病院院長の山下直秀先生です。

 山下先生には10年以上も5‐ALAの研究に携わっていただいています。実は、5‐ALAは発達障害の方に対する臨床研究も行われていて、効果に期待がもたれています。ウェルビーさんとしても、従前から本業で5‐ALAを活用できないかと考えていらっしゃいました。

 確かに、食品業界とは距離のある企業ですが、我われの5‐ALA事業は、表面上は何の関係性もなさそうな治療薬の開発を複数走らせていたり、その一方で食品として開発していたり、と同時に畜産や肥料への応用を進めていたりなど多岐に渡ります。そのため、従来の製薬業界、食品業界、ヘルスケア業界の枠組みに収まりきらない部分が多い。その意味では、むしろ従来の枠組みに捕らわれない発想で新規に事業に取り組まれるウェルビーさんこそ適任で、フットワークよく5‐ALAを市場に広げてくれると期待しています」

──海外の一部で5‐ALAを生産する動きが出ているようです。日本での流通も始まっているとみられています。今後、競合していく可能性があるかもしれません。

 「5‐ALAの製法は、化学的合成法と発酵法の2つに大別できます。前者では、シアンが使われる場合が多く、不純物を完全に取り除く厳格な品質管理が必要です。その要求を満たしたものが医薬品として使われています。管理基準の異なる食品として使えるものではありません。

 一方、発酵法に関しては使用する菌の種類が安全性と密接に関わってきます。食薬区分の専ら非薬品リストに収載されている5‐ALAは、「光合成細菌(ロドバクター・セファロイデス)を生成したもの」と定義されていて、我われの5‐ALAはそれを使っています。

 我われが5‐ALAの発酵法の研究を始めてから30年以上が経ちます。我われが使っている菌と同様のレベルで安全性や生産効率などを担保できる菌が他にあるのかと言えば、極めて難しいのではないか。化合物としての5‐ALAは十分な安全性が確保されていますが、製造法や品質管理が不適切であれば製品としての安全性は担保できません。製造法などの詳細が明らかにされていない製品についてはその安全性が気になるところです」

企業間係争の行方 「懸念は全くない」
──SBIグループとの係争について伺います(第1041号既報)。この問題が解決されない限り、原材料供給に広がりを出せない可能性があります。5‐ALAに強い関心がある一方で、係争の行方が気になるという事業者をどう安心させますか?

 「係争に関する見解は会社としてもプレスリリースを出していますし、週刊誌はじめ様ざまなところで報道してくれていますから詳細は語りませんが、我われとしては係争の行方に全く懸念を抱いていません。

 そもそも係争と工場の運用は全く別の話です。現在も係争は続いていますが、我われの袋井工場は毎日通常通り稼働していて、5‐ALAを生産し供給しています。工場に対する競売申し立てもすでに取り下げられています。ですから安心してお取り引きいただければと思います。

 5月下旬のことですが、静岡県の川勝知事が工場見学にお越しになりました。県の関係者の間では、知事が係争中の会社を訪れることを懸念する声もあったと聞きましたが、川勝知事は私に、『社会に役立つものを作っている工場を敵対的行為から守り、製造と供給を続けて下さい』と激励していただきました。その期待にしっかり応えたいと思います」

【写真=左:ネオファーマジャパン河田聡史 代表取締役  右:採用はじまる 菊正宗も5-ALA強化甘酒発売 ネオファーマジャパンの袋井工場で生産された食品向け5‐ALAを配合した甘酒(=写真)が9月1日に発売された。発売したのは菊正宗酒造(神戸市東灘区)。5‐ALAは食品にもともと含まれるアミノ酸の一種として知られるが、甘酒には多く含まれているといい、同品は「5‐ALA強化型甘酒」とも言える商品。ネオファーマジャパンによる食品向け5‐ALA原材料販売事業が今後どこまで大きくなるか注目だ。】



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