DHC 韓国事業から撤退 日本製品不買運動など影響か(2021.9.23)

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 DHCが9月15日を最後に韓国での販売活動を終えたようだ。同社の現地法人DHCコリアが同1日から公式ホームページを通じて国内営業を終えることを伝えていた。具体的な理由は明らかにしていない。2019年から韓国で続く日本製品不買運動や、DHC会長による在日コリアン差別とも受け取れる文章などの影響が取り沙汰されている。

 DHCは2002年、韓国にDHCコリアを設立、現地で化粧品やサプリメントなどの販売を展開してきた。化粧品を中心に愛用者が多いといわれる。設立20周年の節目を目前にしていた。

 DHCコリアは今月1日付で、公式ホームページを通じ、同15日午後2時をもって韓国国内での営業を終えることをアナウンス。「良い製品とサービスでお客さまを満足させようとしたが、残念ながら、国内営業の終了を決定した」と伝えていた。

 DHCコリアは営業終了の具体的な理由を明らかにしていない。また、日本のDHCも、韓国からの撤退について公式なコメントなどを出していない。

 韓国から撤退しなければならなかったのはなぜか。日韓関係の外交悪化を受けて19年から韓国国内で始まった日本製品不買運動(NO JAPAN)が影響したとの報道が国内外で出ている。

 韓国に進出していた日本企業が最近撤退した事例は他にもある。
 讃岐うどん専門チェーン「丸亀製麺」(運営会社=トリドールホールディングス)が先月までに完全撤退したと報じられている。共同通信の8月26日付記事によれば、韓国国内での日本製品不買運動の影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業制限が追い打ちをかけた。

 また、化粧品関連では、ロレアル傘下の「シュウウエムラ」が今月末をもって韓国市場から撤退するとされる。

会長名の文書が影響の見方も
 一方でDHCのケースは、会長名義で日本のDHCのホームページに複数回掲載された在日コリアン差別とも受け取れる文章(現在までに全て削除)に対して生じた韓国国内での反発が影響したとの見方もある。

 この文章は物議を醸し、日本では、一部の生活者によるDHC商品の不買運動につながるなどした。文章は昨年11月に掲載が始まり、内容を更新しながら、今年5月末まで掲載され続けた。

 ただ、会長の嫌韓的言動が韓国国民の反発を呼んだのだとしても、DHCの韓国からの撤退は同国の消費者、生活者にとって何らメリットのないことだったかもしれない。

 DHCコリアは今月1日から営業終了までセールを実施。セール開始4日後に全製品の8割が売り切れたといわれる。いくら値引きされても嫌いな企業の商品は買わないだろう。およそ20年にわたりDHCの商品は韓国でも愛されてきたことが窺われる。

【写真=DHCコリアの公式ホームページに掲載された韓国での販売終了を伝える画面】


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