キリンホールディングス 「プラズマ」、需要増を見通す(2021.9.23)

08キリンプラズマ乳酸菌22品①

【写真=キリングループ各社と外部企業合わせ、プラズマ乳酸菌を配合した機能性表示食品は22品に拡大】
 
 キリンホールディングス(東京都中野区)が独自素材「プラズマ乳酸菌」の需要拡大を見据え、同乳酸菌の菌体製造能力を増強する。今後、キリングループとして最終商品の販売をさらに強化する。また、原材料販売先の外部企業が最終製品の販売を本格化していくため、需要が増加していく見通し。その中で国内市場の更なる底上げ、そして海外市場の開拓を図るには、生産キャパシティの底上げが必須と判断した。2027年までの目標として掲げている、プラズマ乳酸菌関連事業の売上高500億円の達成に向け、安定供給体制を整えながらBtoB事業とBtoC事業の両輪を効率的に回す。

 キリンHDは9月9日、同社グループの小岩井乳業・東京工場(埼玉県狭山市)で生産するプラズマ乳酸菌の菌体製造ラインを増設すると発表した。現状の年産約14㌧から2倍の約28㌧にまで引き上げる。23年春頃の稼働を目指す。投資額は約9億円。

 製造ラインを増設することで今後の需要に対応する。体調管理意識の高まりなどを背景に、プラズマ乳酸菌配合の飲料やサプリメントの21年1月から8月の累計販売金額は前年同期比約6割増と好調に推移。21年のプラズマ乳酸菌商品の売上目標を当初の110億円から135億円に上方修正した。

 これらグループ売上の伸長に加え、今後、国内におけるプラズマ乳酸菌の外販(原材料供給)事業を強化したり、米国など海外市場での販売を加速させる計画だ。こうした施策により増加する見通しの需要に備え、生産キャパを拡大させる。

 同社は、27年までに、プラズマ乳酸菌関連事業の売上高を500億円規模にまで引き上げる目標を掲げている。現在は100億円台にとどまり、目標達成には、一層の拡販とともに菌体生産能力の更なる増強が必須となる。

 同社は9日の記者会見で、「売上高500億円を達成するには28㌧ではまだ不足している。今後さらに生産規模を高めていきたい」(佐野環・ヘルスサイエンス事業部長)とコメント。売上高目標の達成と生産能力の一層の増強に意欲を示した。

 プラズマ乳酸菌は、機能性表示食品の機能性関与成分として、健康な人の免疫機能を維持する働きを訴求できる。同社では、自社およびグループ会社での最終商品販売に加え、外部企業への原材料供給を進めている。国内では、BtoC(対消費者)、BtoB(対事業者)の両輪を回しながらプラズマ乳酸菌事業を拡大させていく構えだ。

 今年下期には、外部企業からのプラズマ乳酸菌を配合した機能性表示食品の発売が相次ぐ。既に今月6日からオリヒロプランデュがゼリーの販売を開始。10月にはカンロがグミを投入する。さらに11月にも森永製菓が参入し、のど飴やチョコレートなど3品の販売を始める予定だ。

東南アジアも販路に 背景にデング熱 素材販売で需要開拓
 キリンホールディングスがプラズマ乳酸菌の海外事業を加速させる。プラズマ乳酸菌が熱帯感染症のひとつ、デング熱の症状緩和に役立つことがヒト試験で示唆されたことから、今後、現地の研究機関と共同研究を進めるとともに、2022年から東南アジアにおいてプラズマ乳酸菌の菌体販売を始める。27年までに10億円の売上を目指す。

 同社が9月17日発表した。同社ではマレーシアのマラヤ大学熱帯感染症研究教育センターとの共同研究を実施し、プラズマ乳酸菌の摂取がデング熱の主な症状の発熱や筋肉痛、関節痛などの累積発症日数を有意に低下させることを確認した。今後、同大学とデング熱に加え新たな熱帯感染症に対するプラズマ乳酸菌を活用した臨床研究での効果確認を共同で進めていく。共同研究を機に、東南アジアにおけるプラズマ乳酸菌の菌体販売も進め、事業の拡大につなげる。

 同日開いた記者会見で、磯崎功典・キリンHD社長は、「菌体販売売上で10億円、小売ベースでは数百億円規模になる」として事業スケールを示した。プラズマ乳酸菌の熱帯感染症に対する働きなどをひとつの手段として、グローバル展開にもつなげていく予定だ。

 同社グループのプラズマ乳酸菌の海外事業は、19年にベトナムでの同素材を配合した清涼飲料水の販売を開始。翌年には米国市場に進出し、複数のサプリメントに採用されている。

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