サプリあり方の行方 権利と義務の均衡 消費者団体が建設的意見も(2026.2.26)


 総選挙では自由民主党が316議席という絶対多数を得て、2月18日から特別国会が始まった。高市総理を指名した後、大臣・副大臣・政務官という政府の顔ぶれと国会の各委員会のメンバーが決定。まずは最優先の予算審議となる。その後、業界注目のサプリメントの定義等も国会の消費者委員会で議論されることとなろう。一方、選挙期間中の2月5日に消費者庁新開発食品調査部会で行われた業界と消費者団体のサプリメントのあり方への意見表明はなかなか示唆に富む内容だった。

 「権利」と「義務」のバランス――。サプリメントの販売者を代表してヒアリングの席で意見を述べた日本通信販売協会サプリメント部会の寺本祐之氏は諸外国のサプリメントの定義を説明しつつ、こう提言した。サプリメントについては、機能性表示という「権利」と製造管理基準(GMP)や健康被害報告等の「義務」をセットで考えるべきということだ。

 確かに「権利」がなく「義務」だけでは、一方的な規制強化となる。

 食品のうち、サプリメントだけに「義務」を負わせる根拠も弱い。紅麹事件は、原料が青かびに汚染されていた食中毒事件。食品全般に起こる可能性があるからだ。

 今回のサプリメントの定義とルール化で事業者にどのような「権利」が得られるのか。法律の建付けからは「義務」だけで「権利」が生じる余地は薄い。検討の俎上である食品衛生法は衛生面に関する規制法で表示は範ちゅう外。仮に機能性表示をサプリメントに「権利」として付与する場合は、食品表示法や健康増進法を改正する必要がある。つまり、機能性表示食品や栄養機能食品のうち、サプリメント形状については、新たに「サプリメント」と定義され、元からある「権利」として表示ルールに則り機能性表示は可能。

 ただ、制度外にあるものは、機能性表示は出来ず、製造管理基準と健康被害報告という「義務」が科されることになる。

 これを見越してか、寺本氏は、サプリメントのあり方について、短期的な課題として保健機能食品、特に機能性表示食品の拡充を提言している。

 要は表示の制度外にある製品を機能性表示食品に取り込むことで「権利」と「義務」を両立させるということだ。

 これは悪くない考えであろう。そもそも機能性表示食品は、米国の栄養補助食品健康教育法をモデルにサプリメントの受け皿として考えられていた。一方で届出資料の煩雑さや手間などで制度を活用していないケースも多いと思われる。何が障害となっているのかを明確にして、それを取り除けば、機能性表示食品はさらに企業にとって使いやすくなり、また消費者にも安全・安心な製品が増えることになろう。

 一方で中長期的な課題としては、サプリメント法の制定をあげた。米国や中国のように、医薬品と食品の間にサプリメントという枠組みを設けて、使用成分、表示、製造等を一気通貫で管理する仕組みだ。本来的にはこの手法が望ましいが、日本でサプリメント法を制定するとなると、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品という3つの表示制度との整合性を取る法改正が必要でかなりの力技となる。

 政府与党が本気となれば350議席超を得た衆院では可能であるが、参議院が難関となる。
 今回は消費者系の4団体も意見表明を行った。これまで、消費者団体の意見はサプリメントの問題点ばかりを列挙して、あまつさえ存在を否定するような内容もあった。

 しかし、今回は総じて現実的で建設的な意見もあった。イメージを変えるような内容だった。

 各団体ともサプリメントを定義することには賛成。さらに製造管理基準を設けて、規制することを主張した。ここまでは業界の主張ともそれほど大きな齟齬はない。

 消費者団体側がサプリメントについて「健康の維持増進に資することを目的とする」ことを認めるような意見があったことも特筆に値しよう。

 注目は「サプリメント」を定義して、製造管理基準等を科した場合、当該製品に「サプリメント」と表示させる提案があったことだ。

 果たしてこれを業界側がどう評価するか。消費者へのアピール力のない余計な表示が増えるだけなのか、それとも良否の差別化のポイントとなるのかは議論が分かれるところであろう。

 経済を最優先する高市政権下で規制=義務のみにフォーカスした仕組みは政権の根本に反する。その意味で絶対安定多数をとった政府自民党は業界にとっては安心材料ではある。サプリの行方は最大の関心事として引き続きマークが必要だ。

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