サプリに希望はあるか GMPは二段階式 営業には届出制の導入も(2026.4.9)
春爛漫。桜は東京では3月下旬に開花、幾度か雨にも打たれたが入学入社式の今週まで咲いている。街ではフレッシュな装いの新人の姿が目立ちこの季節さながらの初々しさだ。我が業界の新しい注目と言えば、昨年から続くサプリメントの定義とルールの行方だ。3月末に消費者庁が論点整理を公表してほぼ方向性は見えてきた。
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「サプリメントに関する規制のあり方」。3月30日の消費者庁新開発食品調査部会でこの題名の資料が提出された。
紅麹事件を受けて、検討された①サプリメントとは何か②ルールと規制はどうあるべきか――への回答である。健康食品業界全体の今後に影響することは、指摘するまでもなかろう。
サプリメントの定義は要素について①健康の維持増進が目的②食事の補助である③天然のものと成分割合が異なる④過剰摂取のおそれ⑤形状(錠剤・カプセル剤、液剤、粉末剤等)⑥風味の有無――の6つ。これらの組み合わせで定義が決まることになる。
この中で業界的にポジティブな注目点は①健康の維持増進が目的――であろう。一見すると当たり前のようにも思えるが、法令的にこれがサプリメントの要素に入れば、堂々とこれを表示、主張できる訳でその意味は大きい。何のためにサプリメントがあるのかという社会での存在意義でもポイントになる。
具体的にサプリメントか否かの有無を決めるうえでは、⑥風味もポイントになろう。これにより、チョコレートや飴、ラムネや菓子などの嗜好品はサプリメントから除外される。ただ、ゼリータイプや青汁はどうなるかなど、境界線では難しい問題も生じるだろう。
まずは、今回示された案に基づき、果たして自社の製品が「サプリメント」なのか否かは検討しておく必要があろう。
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サプリメントにどのようなルールを設けるか。これも今回の検討のお題であった。消費者庁でのパートは「製造管理基準(GMP)」。この後に続く厚生労働省においては「健康被害報告」がメーンテーマとなる。
GMPについては、おそらく二段階方式になると思われる。既に業界の自主基準で運用されている範囲はこれを義務化。グミなどは努力義務で強制はしない。また原材料のGMPも同じように義務化はしないだろう。基本的には、現行の業界ルールが適用される形に落ち着くことになろう。
つまり、サプリメントの中に①GMP義務②GMP努力義務――の2つのパターンが生じることが想定される。
ここまでは消費者庁の所掌範囲。今後、厚労省でサプリメントの定義を踏まえて、新たな義務が議論されることになる。
中でも最も大きいのは先ほど触れた健康被害報告。現在、特定保健用食品と機能性表示食品は義務化されているが、健康食品は義務ではない。今後、これがサプリメントはすべて義務化される方向であろう。ただ、現行と同じ基準とするか議論の余地がある。
もう一つ見逃せないのが「営業の許可・届出制」の導入の有無だ。現状、サプリメントの販売には、届出の必要はないが、今回の検討を経て、これが導入される可能性がある。
おそらく許可ではなく、届出で落ち着くことになるだろうが、これはサプリメントの販売における戸籍のようなもの。一体、何社がサプリメントを販売しているのか、業界団体も実態は把握できていないが、営業の届出が導入されれば、業界の全体像が判明することにもなる。これは注目ポイントであろう。さらに製品の届出制も指摘されているがこれは現実的に難しいように思われる。
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サプリメントを定義。GMPや健康被害が義務化され、営業が届出制となる。こうした規制が導入されて、業界にはどういうメリットが出るのか。この部分が極めてあいまいだ。保健機能食品について機能性表示食品の届出の迅速化・簡便化の記載はあり、これが実際に行われれば、唯一の業界メリットだろう。
サプリメント法の制定は、指摘事項には入っているが、慎重論も併記されている。仮にサプリメント法となれば、関係法令の整理も含めて、大工事となるため、実現性は乏しいのが現状だ。
サプリメントの定義やルールという積年の課題に着手したにしてはアウトプットが規制ばかりなのは否めない。規制と振興はセットであるべきだ。ただ、今の規制官庁に囲まれた構図では難しい。ここはやはり政治の出番であろう。桜と共にこの業界に来てくれたニューフェイスのためにも新しいサプリメントに希望の要素が必要だ。