レスベなど、アルツハイマー予防の可能性 京大G(2014.8.4)


 レスベラトロールやセサミンが神経変性疾患の予防に働く可能性のあることが分かった。京都大学農学研究科などの研究グループが突き止め、このほど英国科学雑誌の電子版に発表した。

 京都大学の阪井康能・農学研究科教授(応用生命科学専攻)、寳関淳・学際融合教育研究推進センター(生理科学研究ユニット)特定准教授らの研究グループが明らかにし、論文が「サイエンティフィック・レポート」オンライン版に7月31日付で掲載された。

 研究グループは、細胞死に起因するアルツハイマー病など神経変性疾患の原因となる、加齢に伴うプロテアソームの活性低下の初期段階に、ミトコンドリアの機能障害が起こることを発見。それに加え、レスベラトロールやセサミンといった食品由来抗酸化剤がミトコンドリア機能障害を防ぎ、細胞死を抑制することを明らかにした。

 「老化に伴う神経変性疾患の予防という観点から、ミトコンドリアの機能障害を抑制する、あるいは予防する食品成分や医薬品の摂取が効果的なのではないかと考えられる」と研究グループではコメントしている。

 アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の原因は、異常な構造を持ったタンパク質が蓄積することで細胞死を引き起こすことだと考えられている。一方、異常構造タンパク質は、細胞内でタンパク分解に働くプロテアソームで分解されるが、加齢に伴いプロテアソームの活性は低下していくとされる。研究グループは今回、プロテアソームの活性低下が細胞死を引き起こすメカニズムを明らかにした格好だ。

 研究グループでは、レスベラトロールやセサミンと同様の活性を持つ食品成分を探索したり、より詳細な作用メカニズムを明らかにしたりすることで、「より的確で精度の高い神経変性疾患の予防方法の開発につながる」と期待を寄せている。

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