「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」の報告書が先月30日に公表されたが、新制度対応に向けた事業者の取り組みは依然、手探り状態を余儀無くされている。
消費者庁が7月30日に公表した報告書はあくまでも新制度の大枠を示したもの。詳細に関しては今後、同庁がガイドライン(指針)として示す見通しだが、その時期については今のところ不明だ。
新制度の詳細を巡っては、業界の意向を提案する目的で、健康食品業界8団体が参画する健康食品産業協議会は先ごろ分科会を設置。文献レビューや対象成分のほか、機能性表示の範囲などの細目について、業界案を取りまとめる。
一方で、企業側としては、ガイドラインを確認できないことには「具体的に動けない」(販売大手)のが実状。「動いたところで二度手間になりかねない」(受託製造大手)との懸念もある。「大手でも様子見のところが多い」(原料メーカー大手)のが現状だと言えそうだ。
ただ、様子見ながらも情報収集は熱を帯び始めている。「査読の有無に分けて論文を集めて欲しいと要望されている」(中堅商社)などと、文献レビューを見越した販売会社などからの引合いが原料事業者では増加している。また、報告書公表以前からの動きだが、原料事業者の一部では今後の拡販が見込める原料で臨床試験に新たに着手。受託事業者でも、開発・製造から文献レビューや機能性表示の文言考案まで丸ごと受託できる体制づくりを進める企業も見られる。
他方、販売会社と受託事業者にとっては、来年6月に施行される食品表示基準の製造所固有記号制度への対応も急務。「とりあえず機能性表示は様子見」という声も聞かれる。