SR検証で報告書公表 WGに上岡教授ら(2016.7.21)


 機能性表示食品制度について、届け出られた研究レビューの「質」を検証していた消費者庁は7日、結果をまとめた報告書を公表した。記述すべき事項などに不履行や記入漏れ、不確かな点がないかなどを検証したもので、不備率が60%を超える項目も目立つ結果だった。報告書では検証結果を踏まえ、研究レビューを適正に作成するためのポイントや具体例も示している。

 検証を行い報告書を取りまとめたのは、消費者庁の委託を受け、みずほ情報総研㈱が設置したワーキンググループ。WGの委員長は上岡洋晴・東京農業大学教授、副委員長は折笠秀樹・富山大学教授がそれぞれ務めた。

 上岡教授らは同庁による検証事業とは別に、研究レビューの質を独自に評価していた。両教授は、届け出られた研究レビューをさらにシステマティクレビューすることで、レビューが正しい方法論に基づき実施されたかを検証する民間研究「FFC‐SR2」の主要研究者。そのうえ、WGのほぼ全てが、同研究に関わる人物で構成されていた。

 WGが検証したのは、昨年10月末までに公表された122品目のうち最終商品の臨床試験による届出や撤回、重複を除く51編の研究レビュー。報告書によると、不備率が60%を超えた項目は、構造化抄録▽プロトコールへのアクセスの可否▽著者への問い合わせ▽エビデンスの要約▽研究レベルとアウトカムレベルでの限界の記述──などであったという。

 またWGでは、レビューで採用された文献の対象者の中に、疾病罹患者が含まれていないかも検証。その結果、罹患者がふくまれていると解釈できる文献を含むレビューが51編中6編あり、対象者に軽症者しか含まれていないものも4編あったという。

 報告書では機能性表示食品の研究レビューの改善ポイントについて、「適正な届出のためには、臨床試験でもSR(研究レビュー)でも、研究計画を適正に立てるのが重要。これにより研究の質がほぼ決定づけられる」などと指摘。また、「不都合と考えられる一次研究を除外するために、検索式などであえてヒットしないように操作される懸念がある」との見方を示し、「複数のキーワードを用いてより網羅性の高い検索をすることが望ましい」などと提案している。

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