免疫機能の維持を訴求する機能性表示食品が、着実に売れ行きを伸ばしている。キリンホールディングスが昨年11月から販売するプラズマ乳酸菌を機能性関与成分とする機能性表示食品のサプリメントは2020年12月までに約34万袋を販売。また、ファンケルが昨年12月から販売する同じ機能性関与成分を用いたサプリの販売個数は20万袋を突破するなど、それぞれ初動1~2カ月で販売実績を上げている。機能性表示食品の新たなヘルスクレームとして昨年8月に公開された「免疫」を謳える商品の市場創造が急ピッチで進んでいるようだ。
加齢とともに低下する血管の柔軟性維持に役立つ──このような機能を訴求する機能性表示食品の届出が昨年12月21日に公開された。特定保健用食品等も含めた保健機能食品全体で初の健康維持・増進表示となる。サプリメント・健康食品受託製造大手の東洋新薬(本部・佐賀県鳥栖市)が届け出た。
国内サプリメント・健康食品受託製造最大手のアピ(岐阜県岐阜市)が新たな原材料ビジネスに乗り出す。ヘルスケア志向や環境保護意識の高まりを追い風にした需要拡大が見込まれる、植物性の原材料を活用したプラントベースフード(PBF)市場に、原材料メーカーの立場で参入する。第1弾製品として、欧米で既に高い需要があるオーツ麦のパウダーや糖化液の原材料販売を、今年4月にも開始する予定だ。製造には、新たに導入した加水分解装置による独自技術を活用し、最終製品への加工適性で強みを引き出す。
成分分析・研究施設を併設する最新鋭の植物抽出物工場を静岡県裾野市に2019年竣工し、翌20年から本格的な運用を始めた研究開発型サプリメント原材料メーカーのオムニカ(静岡県裾野市)。国内サプリメント原材料(植物抽出物)市場のゲームチェンジャーとなる可能性を秘める同社の高尾久貴社長に、20年の取り組みを踏まえた21年以降の展望を語ってもらった。
舌苔(ぜったい)を減らすのに役立つ──このような機能を訴求する機能性表示食品の届出が公開されたことに業界関係者から驚きの声が上がっている。
独自の乳酸菌生産物質を製造販売する光英科学研究所(埼玉県和光市)は、乳酸菌生産物質の需要増加を受け、このほど2㌧の発酵タンク1基を新たに増設した。これにより、既存の1トン発酵タンク3基と併せて4基のタンクが揃う。来年を予定している本格稼働によって、同社の乳酸菌生産物質原液の生産能力を従来比1.7倍の月産24㌧に引き上げる。
機能性食品素材メーカーのリコム(東京都豊島区)が今年10月下旬からYouTubeで配信を開始した素材解説動画の視聴者数が、12月15日時点で延べ1万2000人を超えた。動画は、同社で製造販売するシャンピニオンエキスの機能性に関するエビデンスの概要などを伝える内容。新型コロナウイルス禍で人との接触が制限されたなか、多くの業界関係者が情報収集などのために視聴したとみられる。
ここにきてサプリメントを主体にしたヘルスケア事業の拡充を本格化させている新日本製薬(福岡市中央区)が、新製品として、「自己防衛力をサポート」を旗印に掲げたサプリメントの販売を来年1月8日から開始する。同商品を通じて新たな顧客層として20~40代を取り込む狙い。同社の主要販路であるECでの展開とともに、ドラッグストアへの配荷も進める。年内中に5000店舗への導入を決めた上で販売を開始したい考え。さらに、米国など海外市場にも販路を広げていきたい考えだ。
γ‐オリザノールを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出が12月10日に公開された。同成分は、食薬区分の「専ら医薬品」リストの化学物質等の項目に収載されているもの。昨年実施された機能性表示食品制度の運用改善によって、同リストに含まれる成分でも、機能性関与成分として届け出ることを妨げないとする新たな考え方が提示されており、それに応じた初の届出となる。ただ、今回の届出では、届出表示内に成分名を盛り込まなかった。今後、同リスト収載成分を届け出る際の規範とされていく可能性がある。
機能性表示食品について研究レビュー(SR)による届出を行う場合、届出表示は「報告されています」としておくのが現状では適切と言えそうだ。機能性関与成分のSRに基づく届出表示の一方で、「機能があります」と表現する届出を行っていた日本水産(ニッスイ)が、自主的に表示内容を「報告されています」に修正する方向で検討していることがわかった。近く、変更届を行うとみられる。